あなたは「できる人ほどなぜか失敗する」という現象を目にしたことはありませんか?
たとえば、いつも頼りになる営業社員が課長に昇進した途端に売上が伸び悩む、あるいはベテランの技術者がチームリーダーになると部下の管理に手間取り、これまで通りの成果を出せなくなる…。
一見、不条理で運の悪い話のようですが、これは心理学や組織論で説明できる現象です。
この現象には名前があります。その名も「ピーターの法則」。
簡単に言うと、「人は自分の能力の限界に達するまで昇進する」という法則です。
つまり、どんなに優秀な人でも、新しい役職に就くと必ず新しい壁にぶつかる可能性がある、ということです。
この記事では、この法則の意味や発見者、日常での具体例、回避方法まで解説します。
読めば、昇進後の失敗が「運のせい」ではなく、法則による必然だったと理解できるでしょう。
ピーターの法則とは、組織において「人は自分の能力の限界に達するまで昇進する」という現象です。
たとえば、優秀な営業担当者が課長に昇進したとします。営業としては天才的に売上を上げていたのに、マネジメント業務では部下のモチベーション管理やスケジュール調整に苦戦し、結果として成果が下がる…といった具合です。
他にも、プログラマーがリーダー職に就く場合。コーディングは得意でも、人をまとめる力やプロジェクト全体を俯瞰する力が不足していると、チーム全体の成果に影響します。
つまり「できる人=次のポジションでもできる」とは限らないのです。

限界に達するまで昇進するので、限界が来た人が、その場所で止まってしまう感じですね
そのため、有能だった人は、無能になるまで昇進するって法則ですね
この法則を提唱したのは、カナダ出身の教育者・心理学者ローレンス・J・ピーター(Lawrence J. Peter)。
1969年に出版された著書『ピーターの法則』で広く知られるようになりました。
ピーターは、自身の教育現場や企業での観察をもとに「人は能力の限界に達するまで昇進する」という傾向を発見しました。
ピーターの法則は仕事だけでなく、日常生活にも当てはまります。
たとえば、料理が得意な人が家族のイベントで大人数の食事担当になったとき、慣れない段取りに追われてミスが増えることがあります。
また、趣味のコミュニティでリーダーや代表に選ばれた人が、管理や連絡業務の多さに戸惑うケースも、ピーターの法則の一例です。
さらにスポーツチームでも、エース選手がキャプテンになると戦術やチームマネジメントに頭を使う必要が出て、これまでのプレーに集中できなくなる…ということがあります。
こうして、どんな場面でも「新しい役割に昇進したら、能力の限界に直面する」現象は意外と身近に存在しています。
ピーターの法則が起きる理由は、主に以下の通りです:
- 過去の実績重視
- 昇進の判断は、これまでの成果や能力をもとに行われることが多い
- しかし新しいポジションで求められる能力は別の場合がある
- 心理的誤認
- 「できる人=上の役職に向いている」と考えがち
- 実際にはマネジメント力やチーム統率力が必要な場合もある
- 組織の制度問題
- 昇進システムが適材適所を無視していることがある
- 上に行くこと=成功という固定観念が影響する

昇進することが成功となっているし、上のステージに上がったら給料が上がるからね
環境が変われば、今までと同じパフォーマンスが出ない人も大勢いるってことですね
ピーターの法則を回避する方法もあります:
- 適材適所の配置
- 個々の得意分野と役職を見極めて配置する
- トレーニングとサポート
- 新しい役職に挑戦する前に必要なスキルを学べる研修を行う
- 自己評価と他者評価のバランス
- 「自分に合った挑戦か」を客観的に判断する習慣を持つ
これにより、昇進後も能力を最大限発揮できる可能性が高まります。
ピーターの法則は学校やスポーツチームでも観察可能
映画やドラマでも「昇進して失敗するキャラクター」が登場することが多い
自己認識と学習によって、ピーターの法則による失敗はある程度回避可能

テストで点数高い人が、学級委員長に推薦されても、人前で話す能力が未熟だったら、うまくできないしね
スポーツもプレイヤーとして優秀でもキャプテンなどのまとめ役が得意とは限りませんね
ピーターの法則を知ることで、昇進や役割選択に対する考え方が変わります。
「昇進=成功」と単純に考えるのではなく、自分に合った役割や準備を意識することが重要です。
組織でも日常生活でも、能力の限界を理解し、事前に準備しておくことで、昇進後の壁も乗り越えやすくなります。

