なぜ、人の評価は“全体”ではなく“一瞬”で決まるのか?
「この店、なんか良かったな」
「この旅行、最高だったわ」
逆に、
「最後の最後で台無し…」
そんなふうに感じたこと、誰にでもありますよね。
よく考えると、私たちの体験は長時間にわたっているのに、
記憶に残るのは
「一番印象的だった瞬間」と「終わり際の出来事」
だけだったりします。
たとえ10時間の出来事でも、
- 10分間の感動
- 帰り際のちょっとしたトラブル
これが評価のほとんどを決めてしまう。
この不思議な人間の傾向を説明するのが、今回のテーマ
『ピーク・エンドの法則』 です。
サービス業、恋愛、教育、仕事、ブログ運営…。
どの場面にも応用できる、非常に実用性の高い心理法則になります。
ピーク・エンドの法則とは、
人の経験に対する満足度や印象は “最も強いピーク” と “終わり方” によって決まる
という心理学の法則です。
たとえ全体が普通でも、
- 一番良かった瞬間(ピーク)が強烈
- 最後が心地よい終わり方(エンド)
なら、「良い体験だった」と評価されます。
反対に、
全体が良くても終わりが悪いと印象は落ちます。
この法則を体系化したのは、ノーベル経済学賞を受賞した心理学者
ダニエル・カーネマン。
行動経済学の第一人者で、
人が合理的に判断しているようで実は“心理のクセ”に影響されている
という研究を多く打ち立てています。
ピーク・エンドの法則もその代表例の一つで、
“人間は客観的に全体を評価しているわけではない”
ということを示した重要な実験結果です。
人の脳はすべての情報を完璧に記憶できません。
そのため、
「特徴的な瞬間」と「最後の記憶」だけを残す省エネ仕様
になっています。
さらに、脳はストーリーとして物事を記憶するため、
- 最高潮の瞬間(ピーク)
- ストーリーの締め(エンド)
この2つが評価の軸になりやすいのです。
つまり、
記憶の“編集”を脳が勝手に行っている
と言えます。
● 旅行の場合
3日間の旅行がほぼ普通、でも最終日に絶景に出会って最高の気分で帰った
→「めっちゃ良い旅行だった!」と記憶される。
逆に全体が良くても、最後にトラブル
→「なんかなぁ…」と印象が下がる。
● 接客の場合
1時間ずっと丁寧でも会計のときに雑に扱われると
→悪い店だと感じてしまう。
● 医療の場合
手術の痛みが短時間だけ強くても、最後の処置が穏やかなら
→「思ってたより楽だった」と記憶される。
● 映画・ドラマの場合
終わり方が綺麗な作品は、評価が高くなりやすい。
● 仕事
・クライアントとの会話の最後を丁寧にする
・ミーティングで最も伝えたいことを“ピーク”として置く
● 恋愛
・デートの最後が印象の9割
・告白やサプライズのピークをつくる
● サービス業
・退店時の挨拶を強化
・クレーム対応の「最後の一言」が信頼につながる
● 教育
・授業のクライマックスを作る
・最後をポジティブに締める

ピーク・エンドの法則を知っていると、相手への印象が残りやすいかもですね
ブログ・動画はまさにピーク・エンドの法則が生きる世界。
✅ 導入(ピーク)
・最初の数行で興味を引ければ読者は離脱しない。
✅ 終わり方(エンド)
・綺麗なまとめ
・共感の一言
・読者を次の行動へ導く言葉
これで満足度が一気に上がります。
ピーク・エンドを意識するだけで
- 顧客満足度
- リピート率
- 信頼度
- SNSでの好印象
が大きく変わります。
コストをかけずに実践できるのが強みです。
- 最後が雑になるサービス
- ピークが弱く、印象に残らない
- 全体の質に気を取られて「終わり」を軽視する
特に“エンドの失敗”は印象を一気に落とします。

