あなたは、なぜあの人ばかり上手くいくんだろう、と思ったことはありませんか?
学校や職場、SNSや趣味の世界でも、なんとなく「この人は何をやっても上手くいくな」と感じる人って存在しますよね。
この現象には名前があり、「マタイ効果」と呼ばれています。簡単に言うと、すでに成功している人はさらに成功しやすく、まだ成功できていない人はチャンスをつかみにくい、という現象です。
一見すると不公平に思えるかもしれませんが、社会のあらゆる場面で自然に起きている“成功の連鎖”だと理解すると、納得できる部分もあります。
マタイ効果をもう少し詳しく説明すると、「持っている人はもっと得をして、持たない人はさらに取り残される」現象です。
例えば学校で、成績優秀な学生は先生や周囲から注目され、褒められたり支援を受けたりすることで、ますます勉強がはかどります。反対に、成績が伸び悩む学生はサポートが少なく、挽回のチャンスもなかなか訪れません。
これは単なる学業の話に限らず、仕事や趣味、SNSの世界など、あらゆる場面で同じような構造が見られます。成功の連鎖は、知らず知らずのうちに人の成長や機会を左右しているのです。
「マタイ効果」という名前の由来は聖書にある「マタイによる福音書」の一節です。
そこには「持てる者はさらに与えられ、持たざる者は持っているものさえ取り上げられる」と書かれており、この言葉をもとに社会学者ロバート・マートンが研究しました。
マートンは、学問の世界での評価や成功の偏りを観察し、これを「マタイ効果」と名付けました。つまり、この現象は古くから存在していた社会の法則を、現代社会に応用して考えることができるのです。
マタイ効果の概念はもともと学問の世界で発見されました。
優秀な研究者や有名な学者は注目されやすく、資金援助や研究のチャンスを多く得られるのに対し、無名の研究者は同じ成果を上げてもなかなか評価されにくい、という現象です。
この現象は現代に至るまで、学問以外の仕事、芸能、スポーツ、SNSなどあらゆる分野に広がっています。歴史を振り返ると、時代を問わず「持っている者がさらに得をする」という構造は存在していたことが分かります。
学業や仕事の場面では、マタイ効果は非常に分かりやすく現れます。
例えば、成績優秀な学生は奨学金や特別指導を受ける機会が増え、さらに学力が伸びる傾向があります。逆に成績が伸び悩む学生は、補助や支援が少なく挽回の難易度が高くなります。
仕事の世界でも同じで、成果を出す社員はプロジェクトや昇進のチャンスが増えます。一方で、まだ実績が少ない社員はチャンスを得にくく、努力してもなかなか評価されにくいのです。
現代社会では、SNSやYouTubeの世界でもマタイ効果が見られます。
人気のあるアカウントは投稿が注目されやすく、アルゴリズムの影響でさらに多くの人に見られやすくなります。その結果、フォロワーや再生回数がどんどん増え、知名度がさらに上がります。
逆に、新しいアカウントやフォロワーの少ないアカウントは、どんなに良い投稿をしても埋もれやすく、人気を伸ばすのに時間や工夫が必要です。
スポーツや芸能の世界でもマタイ効果は顕著です。
スター選手はスポンサー契約や試合出場のチャンスが多く、注目されることでさらに成績や知名度が伸びます。人気タレントも同じで、仕事のオファーが増え、ますます有利な立場を築くことができます。
成功している人がさらに成功する構造は、世界中の競争社会に共通して存在していると言えるでしょう。
マタイ効果には明確なメリットとデメリットがあります。
メリットは、成功者はより多くのチャンスをつかみ、成長や成果を加速させられることです。
デメリットは、まだ成功できていない人が不利な立場に置かれ、挽回の難易度が上がることです。
社会の中で格差が広がる原因の一つでもありますが、これを理解することで戦略的に動くことが可能になります。

マタイ効果を知っていると社会の仕組みが少しわかりますね
では、どうすればこの現象を味方につけられるのでしょうか?
- 小さな成功体験を積み重ねる
- 努力や成果を目立つ場所でアピールする
- ネットワークや支援を活用して有利な状況を作る
ポイントは、成功の連鎖を意図的に生み出すことです。ちょっとした工夫で、自分の立ち位置を有利にすることができます。
マタイ効果は避けられない社会現象ですが、知っておくだけで考え方や行動が変わります。
成功者ばかりが注目される社会だからこそ、自分なりの工夫でチャンスを増やし、少しでも有利な立場を作ることが大切です。
不公平に見える現象も、理解して戦略的に活用すれば、自分の味方にできるのです。

