なぜ価格は変わるのか?
スーパーで野菜を買うとき、ある日は安く、ある日は高い――その理由は何でしょうか?
価格の変動は、私たちの日常生活でも頻繁に見られる現象です。例えば、夏場のスイカが甘くて高価になったり、冬になるとみかんの値段が下がったりします。
こうした「価格が変わる理由」を理解する鍵が 需給の法則 です。
需給の法則を知っておくと、商品やサービスの価格がどうやって決まるのか、市場の動きがよりスムーズに理解できるようになります。さらに、買い物や投資など、私たちの生活のあらゆる場面で役立つ知識です。
需給の法則とは、経済学の基本原則で、「商品の価格は需要と供給のバランスで決まる」 という考え方です。
- 需要(Demand):消費者が「欲しい」と思う量
- 供給(Supply):生産者が提供できる量
需要が供給よりも多ければ、商品の価格は自然に上がります。逆に、供給が需要より多ければ、価格は下がります。
この原理は非常にシンプルですが、現実の市場で起こる価格変動の多くは、この需給のバランスによって説明できます。
需給の法則の理論化には、多くの経済学者が関わっています。しかしここでは、特に重要な2人 に焦点を当てて紹介します。
アダム・スミス(1723–1790)
- 「見えざる手」の概念を提示
- 自由市場が自然に調整されることを理論化
- 需給の基礎となる考え方を築いた
スミスは、市場における個々の人々の行動が、結果的に全体の調整を生むことを示しました。
例えば、農家がより多くの野菜を作れば、価格は下がり消費者が買いやすくなる――このように市場全体が自然に均衡に近づくことを理論化しています。
アルフレッド・マーシャル(1842–1924)
- 需給曲線を用いた価格分析を体系化
- 供給と需要の交点を「均衡価格」と明確化
- 現代のミクロ経済学の基礎を築いた
マーシャルは、需要と供給の関係を視覚的に理解できる「需給曲線」を考案しました。
これにより、価格がどのように変化するかをグラフで示すことが可能になり、現代の経済学でも教科書的に使われています。
※その他、多くの経済学者が理論を補強していますが、初学者向けにはこの2人を中心に理解するとわかりやすいです。
需給の関係はグラフで表すと、より直感的に理解できます。

- 横軸:数量
- 縦軸:価格
- 供給曲線は右上がり
- 需要曲線は右下がり
供給が増えると価格は下がり、需要が増えると価格は上がります。
曲線が交わる点が 均衡価格(市場価格) で、この点で需要と供給が完全に一致します。
この均衡価格は、理論上は市場が最も効率よく資源を分配している状態といえます。
現実の市場では、天候や季節、流行、政策などの影響で完全な均衡にはなりませんが、基本的な原理として非常に重要です。
日常生活でも需給の法則はしっかり働いています。
- 人気ゲーム機:発売直後は需要が急増するため価格が高くなる
- 野菜や果物:収穫量が多ければ供給が増え価格は下がる
- 季節商品:クリスマスやハロウィン時期は需要が高く価格が上がる
こうした現象は、すべて需要と供給のバランスによって説明できます。
つまり、私たちの生活の中で日々目にする価格変動も、需給の法則の結果なのです。

旬の果物とか野菜は値段が安くなるイメージですね!
- 需給の法則は「価格は需要と供給で決まる」という基本原則
- アダム・スミスが市場の基礎理論を提示
- アルフレッド・マーシャルが需給曲線で価格を可視化
- 日常生活のあらゆる価格変動に影響している
需給のバランスを意識すると、買い物や投資でも価格変動の理由が理解しやすくなります。
また、経済学の基本原則を知っていると、ニュースや社会の動きも読み解きやすくなるでしょう。

